建設業許可ってなあに?
カキツバタ先生~、おはよーございまーす。
お~、おはよう。あやめちゃんかいな。最近、よう来るな~。ヒマなんかいな。
-あやめちゃんはお父さんが行政書士試験に合格してから
近所で行政書士をしているカキツバタ先生の家に
よく遊びに来るようになった。
先生こそいつも家にいるやんか。事務所に行かんでもいいのんか?
ははは、そのとおりやな。たまには事務所にも行かなあかんな。
-カキツバタ先生は市役所前に「杜若兵主行政書士事務所」という、
ほとんど読み方がわからない行政書士事務所を構えている大御所の行政書士である。ちなみに事務所名は「かきつばたひょうずぎょうせいしょしじむしょ」と読み、
行政書士の息子に任せている。
先生、この前会ったとき、行政書士してるって言ってたやんか、うちのお父さんも行政書士やねんで~。
ははは、そのとおりやな。たまには事務所にも行かなあかんな。
そやそや、おっちゃんも行政書士やってるから、家に遊びにおいで~って言うたんやな。
そうやで。そやし、遊びに来てんねんで。普通こんなかわいい女子大生が先生みたいなおじいちゃん相手にするかいな。
ははは、ほんまやな。おおきにな。ところで、今日はなんやな。
そうそう、先生、「ケンセツギョウキョカ」って知ってる?
建設業許可のことか。もちろん知ってるで。それがどうしたんや?
うん、お父さんがこの前、建設業許可の依頼が来たから忙しいわって言ってたから。建設業許可ってなんなん?
-あやめちゃんのお父さんは開業したての新人行政書士で日夜奮闘中。
建設業許可っていうのは、建設業をしようと思ったら、その許可を取らないといけませんよ、って法律で決まってるんやわ。だから、その許可を取るために、いろんな書類を書いたり、自分はこれだけの実績がありますよっていう証拠をお役所に提出しないといけないんやわ。
へーそういうことなんか。
建設業って言ってもいろいろあるんやで。何種類ぐらいあるかわかるか?
え?種類って何?なんとか建設とか、なんとか工務店とか、そういうことじゃないの?
違う違う、法律で建設業と定義されているのは28種類あるねん。あ、近々法改正で29種類になる予定なんやけど、まあええわ。
わかりやすくするために表にしてみると、こんな感じかな。
すごい細かく決められてるんやね。大変そう~。これって、みんなが建設業許可を取らないといけないの?
いや、建設業法ではそれも決められていて、「軽微な工事のみを請け負う場合は除く」ってされてるんや。
けいびなこうじ?
そう、建築一式工事では工事1件の請負代金が1500万円に満たない工事、または延べ面積が150㎡に満たない木造住宅工事(述べ面積の2分の1以上を居住の用に供すること)その他の工事では、工事1件の請負代金が500万円に満たない工事、とされいるね。
なんか、難しくなってきました~。
建築一式工事というのは、家を一棟丸ごと作るとかいうことやね。家1軒を作るのに、1500万円かからへんって場合は軽微な工事になるね。
または、金額が1500万円以上でも木造住宅で延べ面積が150㎡未満だったら軽微な工事やね。ただ、この場合、2分の1以上を居住用として使用する場合となっているから、半分以上をお店や事務所で使うという場合は、軽微な工事にならないので、許可が必要やで。
なるほど。そういうことか。建築一式工事以外の場合は、請負代金が500万円未満だったら許可がいらないんですね。
そうや。わかってきたね。
えへへ、っていうか、そこはそのままやし。500万円未満っていうことは、499万9999円までってことですよね。
ところで請負代金は税込ですか?
お、鋭いところをついてくるね。税込だよ。
そうなんだ。請負代金って材料費も入るの?
たとえば、材料は発注者が用意するから工事だけお願いするわ、ってなったときはどうなるの?
たとえば、材料費が300万円で工事代金が400万円の場合、合計700万円でしょ。
でも、その材料費は発注者が用意すると建設業者の請負代金は400万円になるでしょ、
だとしたら、建設業許可がなくても工事ができますよね?
残念ながら、そうはならないんだよ。たとえ発注者が材料を用意したとしても
その材料費の市場価格、運送費なども含めて請負金額として判断されるんだよ。
へー、そうなんだ。(チっ)
あ、今舌打ちしたな~。
いえいえ、そんなことないですよ。じゃあ、こういうのはどうですか?
たとえば、600万円の工事だけど、契約を2つに分けて300万円ずつの工事にしたら、建設業許可を取らなくても工事を請け負うことができますか?
うーん。これも残念ながらできないんよ。
そういうのを分割発注っていうんだけど、正当な理由がない分割発注は合算して計算することと決められているんだよ。
くそっ
いま、くそって言った?言ったよな。
いえいえ、そんなことないですよ、そんなこと言うわけないじゃないですか(笑)。
大きい工事を受けようと思えば、建設業許可が必要っていうことですね。
そういうこと。建設業許可を取ればこれまで受けられなかった大きな仕事も受注できるし、取引先や元請け業者からの信用も上がるよ。
それに金融機関の融資を受けるときにも影響する場合があるから、建設業者の人たちにとってはぜひ取っておきたい許可だね。